続・あなたの色に染められて
第11章 Hello! My Baby!!
空がオレンジ色に染まった時間
璃子の両親とお袋たちが名残惜しそうに病室を出ていきやっと静かになった。
『可愛いね。』
消灯までは一緒に居られる小さな我が子を璃子は愛しそうに見つめながら胸に抱き授乳をしていた。
『ねぇ…ベビちゃんは京介さん似だと思わない?』
『そうか?』
『この高い鼻とか唇とか。』
必死に璃子の乳房に食らえつく可愛い我が子
『オレはそのくっきり二重が璃子似だと思ったんだけど。』
頬を寄せ合い天使を眺めるそんなゆっくりとした時間
『あれ?寝ちゃったかな。』
『コイツも疲れてんだろ。』
璃子と同様この小さな命も俺たちに逢うために必死だったんだ。
『なぁ…抱っこしてもいい?』
『いいですよ。』
俺は璃子のとなりに座り まだ馴れない俺は小さな我が子を恐る恐る胸に抱いて
『え…あ…ちょっと待て。』
『頭をちゃんと…そう、しっかり支えて。』
3,000gほどしかない小さな我が子は俺の腕に収まると大きく口を開けてあくびをした。
『居心地いいのかもね。』
璃子は身動きがとれない俺をクスクスと笑いながら腕にピタリと寄り添った。
『名前どうします?』
『いつまでもベビちゃんって訳にはいかねぇからな。』
すっかり夢の中の我が子を胸に抱きながら俺はひとつ小さく息を吐いた。
『あのさ…“けいすけ”ってどう?』
『けいすけ?』
『恵むって字で恵介。』
別に決めてた訳じゃない。抱いた瞬間の閃きだけど
『コイツのこれから歩む道がどんなに険しくても仲間や環境に恵まれて それに胡座をかくことなく人を助けてほしいなって。』
『恵み 恵まれ 人のために生きる…』
シンプルだけどオレら二人の原点みたいな大切な言葉
『一緒に大声で笑ってくれる仲間とか、コイツを思って本気で叱ってくれる人とか…何事にも一生懸命打ち込める環境とか?何て言うんだろ…』
そんな言葉を俺たちからの初めてのプレゼントにしたくて
『ダメかな。』
『いいじゃないですか。森田恵介くん…パパが素敵な名前をつけてくれたよ。』
璃子がその名を呼ぶとふわりと頬を緩ませて
『あ…笑った!見た?京介さん!』
『気に入ってくれたか?』
恵介が頬を緩めただけで俺たちも頬を緩める。
そんな可愛い我が子の緩んだ両頬にたくさんの気持ちを込めて俺と璃子は同時にキスをした。