続・あなたの色に染められて
第12章 新しい生活
『…悪かったよ。』
掴まれていた両手が溜め息と共に離されたことで心がズキンと音をたてた。
『ごめんね。』
ここまで強く拒まなくてもよかったな…なんて彼の俯く視線を目の当たりにして 自己嫌悪に陥ってももう遅い。
『あのね…まだ…その…』
体を起こして私から離れようとする京介さんの腕を掴んで弁明しようとしても
『俺が悪かった。疲れてんのにゴメンな。』
瞳も合わせず京介さんは優しく微笑んだ。
『…京介さん?』
ソファーの背にボスっと凭れて天井に差し込む僅かな光を眺め
『オレ…ガキみてぇだな。』
何て言いながらクスクスと笑い腕で顔を覆った。
『違う…違うの…』
俺の腕を掴みながら小さく呟くその声にまともに耳を貸せない俺ってコイツの前だとガキ丸出しで
『ちょっと調子に乗りすぎたな。』
昨夜だって布団に入った璃子を抱き寄せた瞬間に泣き出した恵介に眉をひそめた。
どうかしてるよな…
まともにコイツを抱いたのは妊娠がわかる半年以上も前の話
柔らかなその肌に飽きるほど花を咲かせたいなんて…俺って父親失格だよ
『京介さん…』
触れたくて 感じたくて 狂わせたくて…
『…聞いて?』
産まれたばかりの息子にまで嫉妬か?
『なに本気になってんだよ。』
格好つけてコイツの頭をポンと撫でてもその掌から負の感情が伝わっているだろう
『そうじゃなくて…明日の検診終わらないとダメだって…先生に言われてて。』
『は?』
拒んだ理由が俺を拒絶していた訳じゃないとわかっても
『そかそか。』
納まりつかないつかないこの感情に嫌気が差した。
マジでコイツの前だとどうしようもないオレ…
『あの…』
なんて黄昏たけど
『はぁ?…って、おまえ…ちょっと待て。』
いつかもこんな光景があったなと思い出した瞬間に俺は反射的に腰を引いてしまう
『おい…璃子何やってんだ?』
真っ赤に染まっているであろう顔を伏して床に座り込み
『イヤですか?』
俺のデニムのボタンに手を掛けてるおまえって
『イヤじゃないけど…』
結婚したって子供産んだって、おまえは俺の心を煽る天才で
『腰 あげて?』
『あ…はぃ…って…』
…カプッ
『…っ。』
素直に応じてしまった俺はおまえに相当飢えていたんだな。