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続・あなたの色に染められて

第12章 新しい生活


『大根も買っておこうかなぁ。』

京介さんに車を出してもらい 少し離れた大型スーパーに向かった私たち

『今日はなに食べたい?』

大きなスーパーは品数も多くてお値段もお手頃

『餃子、和風ハンバーグでもいいなぁ。』

『どっちにしても挽き肉は必要ってことですね。』

『あと…マカロニサラダも食いたい。』

『はい、了解です。』

カートに積まれた二つのかごには一週間分の食料品と日用品

買い忘れがないかメモをチェックしながら もう一度確認したつもりだったけど

『あっ。』

『ん?』

会計を済ませたカートを押す京介さんの腕を堪らずグイッと引っ張った。



…これか

『食いたいの?』

目をキラキラと輝かせ喉を鳴らしコクりと頷くコイツ

『しょうがねぇなぁ。』

『やった!』

フードコートの前を通ったのが関の山

『ほらよ。』

『いただきまーす!』

空いてる席に座りソフトクリームを渡すと恵介を俺が預かって

『うまい?』

『食べる?』

まるで子供のように口を大きく開けて天辺の角を頬張り

『いらねぇよ。』

たかがソフトクリームをそれはそれは美味しそうに食うおまえに欲しいなんて言えねぇっつうの。

『美味しぃ。』

考えてみれば璃子は平日ずっと家の中で恵介と二人きり

ソフトクリームは今のコイツにはご馳走なんだ。

そう言えばアイスが好きなんだよな…

ふと ご無沙汰の夏樹さんの顔を思い浮かべる。

まだ恵介も会わせてねぇし近いうち…

ダメだ…あの店に赤ん坊連れて行くのは他のお客さんに迷惑になっちまう

『ごちそうさまでした。』

『満足か?』

『ハイ!』

毎日 文句の付け所がないほど頑張ってくれてる璃子になにかご褒美が出来たら

『どうしました?』

『別に。』

また 駐車場へと足を進めながら頭のなかをフル回転させた。

*

『よし出来たぁ。』

大量の買い物袋を冷蔵庫に仕分け 京介さんのリクエストの餃子とマカロニサラダの下準備を終わらすともうすっかり空はオレンジ色

『あれ?』

恵介を寝かしつけると寝室に入っていったのはもう一時間も前

『京介さん?』

寝室の扉をゆっくりと開けると

『フフっ…同じ格好だ。』

大きなベッドで両手を上げ同じ格好をして眠る愛する男子二人

『親子だなぁ。』

たったそれだけで疲れてる私の頬は緩んだ。

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