続・あなたの色に染められて
第2章 幼馴染み
『ただいま~。』
『おかえりなさ~い。』
仕事から戻って食事の仕度をしていると 京介さんは少し陽に焼けて帰ってきた。
『腹へったぁ 今日の飯なに?』
後ろからフワリと抱きしめ 髪にキスを落としながら 大人の野球少年は私を甘い気持ちにさせてくれる。
『今日はね…餃子。この間食べたいって言ってましたよね?』
私が彼にできること。
それは彼のためだけに食事を作ること。
『マジ?じゃあ さっさと風呂入ってきちゃおうかな。でもその前に。』
『…んッ…。』
首に手を添えると一気に唇を奪われる。
『一緒に入らない?』
その瞳で見つめられるとつい頷いてしまいそうになるけど
『ゴメンナサイ。今週はちょっと…。』
腹痛と共に訪れる月の憂鬱なレディースデイ。
『そか。』
頭にポンと手を置くと寂しそうに微笑んで浴室に足を向けた。
『はぁぁ。』
さっきトイレで気付いたの。今月は少し遅れてたから もしかして…なんて淡い期待をしてたんだけど
『なかなか授からないもんなんだなぁ。』
子供好きな京介さんのためにも早く…って思ってるのに世の中そんなにうまくはいかない。
愛する人の赤ちゃんをお腹に宿すことって奇跡的なことなんだって改めて感じて
『…ハァ…。』
野球の仲間内でも子供がいないのは私たちだけだし…。
『…イタタタ。薬飲まなきゃ。』
餃子を包みながら腹痛と格闘する私の心は女子日も重なってブルーだった。
***
いつもはダイニングテーブルでお食事を頂くけど 今日は彼に少しでも寄り添いたくてソファーに並んで座ってお夕食。
『くぅ~。ビールに餃子 合うねぇ。』
京介さんはこうやっていつも私の作った料理を美味しそうに食べてくれる。
『ミーティング断って正解だったな。』
いつも手抜きをしてる分 京介さんが好きなものをローテーブルいっぱいに並べた。
『璃子もどうぞ。』
『今日は…ちょっと…。』
『そか。』
生理中だからとお酒を控えたら
『…じゃあ…ヨイショッ。』
『わぁっ!』
脇に手を入れられると 体は一瞬で宙に浮き彼の長い脚の間にスッポリと納められた。
『…え…。』
彼の頬が私の頬と重なると
『腹痛いんだろ?こうすれば少し楽になるだろ?』
これは彼の優しさ。
背中から伝わるぬくもりが私のくすんだ心を温めてくれた。