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続・あなたの色に染められて

第13章 空と白球とキミと


『京介さ…ん?』

いやいやだから…

『京介さん?じゃねぇよ。幸乃さん、ちょっと恵介見ててもらっていい?』

眠っている恵介を幸乃さんに預けると 髪をかきあげながら大きく息を吐いて

『あのなぁ。』

おもいっきりスイッチが入った瞳で私を見下ろした。

『何々?どうしたの?』

ただならぬ雰囲気を感じ取った幸乃さんは恵介を抱きながら私たちを交互に見る。

京介さんはその言葉に反応することもなく

『おまえ何考えてんの?』

まぁ快く思わないかもしれないけど元カレである前に同士っていうのかな。

『アイツからの電話 普通俺の前で出るか?』

きっと怒るだろうとは思った。

『…出ますよ。』

『はぁ?』

出るに決まってるじゃない。あそこで出なかったら可笑しいでしょ?

っていうか…

『京介さんの前だから出たんですよ。』

*

マジでありえねぇ。

俺は今 おまえに説教してるのに あっけらかんと俺の怒ってることさえも楽しむように満面の笑みで

『だって聞かれちゃ不味い話なんてないですもん。』

当たり前なことを言った。

『京介さんにもよろしくって。』

そう言うと 柔らかく微笑みながらこの様を眺めていた幸乃さんから恵介を抱き上げて俺を見上げた。

『京介さん。』

相変わらずコイツには敵わない。

重くて大きなマザーバックを肩から下げて胸に恵介を抱いて

『行きましょ!』

スタスタと駐車場へと足を向けるアイツを眺めていると怒ってる俺がアホらしくなった。

『璃子ちゃん強くなったねぇ。』

『…。』

『母は強し!京介くんももう少し大人にならないと。』

バシッ!

『痛ぇっ!』

何にもないから俺の前で話した。

璃子らしいよな…アイツはいつだって逃げも隠れもしない。

『おぃ、おまえ偉くなったなぁ。』

チョコチョコ歩くおまえの横に並び大きな荷物を取り上げる。

『そうですよ。我が家はかかあ天下ですから。』

『いつからだよ。』

『今からです。』

車に荷物を積み恵介をシートに乗せる。

『ちょ…ちょっと…』

『うるせぇ。』

車の影で俺はおまえにキスをした。

『みんなに見られちゃうよ。』

そんな潤んだ瞳をするからキスの止め方がわからなくなる。

『やべぇ止まんねぇ。』

だって口では拒否るくせにおまえの腕は俺の背中をギュッとホールドしてるから

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