続・あなたの色に染められて
第2章 幼馴染み
『夏休み?』
『そう 夏休み。』
ベッドの中でどこかダルそうな璃子を包み込みながら提案した夏休みの計画
それは佑樹からプレゼンされた初めての企画
『萌の実家の別荘が伊豆にあるらしくって そこで海入ったりバーベキューしながら過ごさないかって。』
『別荘?』
佑樹の話では萌の実家はかなり裕福らしい。
大きな建設会社でお兄さんが跡目を次いでるけど佑樹も一緒に盛り上げていかないかって誘われてる…なんて言ってたっけ。
『赤ちゃん連れて 二人で出掛けるのは大変だからみんなで2泊3日ぐらいで行けば楽しいだろって。』
オレらも行けば赤ん坊の面倒も…なんて チャッカリしてる萌らしい発想。
『みんなって?』
だんだん輝き出す大きな瞳
『いつものメンバーだよ。長谷川さんとこと 直也んとこ。あとはタケシとか野郎が何人か。』
『そんなに広い別荘なんですか?』
『客間が6部屋あるって言ってた。』
『6部屋…旅館みたいですね。』
璃子は瞳を輝かせ始めていた。
だって俺たちまだ新婚旅行だって行けてない。
『でも…3日もお休みするんですよね。』
そう 璃子は仕事に穴を空けるわけにいかないと責任感たっぷりだから。
『っていうか もう“行く”って返事しちゃったんだけど。』
『はい?』
体を起こして大きな目をさらに見開いて 全く飽きないこの百面相。
『だっておまえに聞いたらそうやって休めないって躊躇するだろ?』
こんな時じゃないと連れ出すことだって出来ないだろ?
『でも…いいのかな。』
行きたいって瞳は饒舌に語っているのに
『いいんだよ。毎日一生懸命働いてくれるんだから夏休みは当然の権利。』
『でも…。』
まだ首を縦に振らないけど 振らせてみせますか
『あれ?答えはなんだっけ?』
璃子の大きな瞳を覗き込むと クスリと微笑みながら目を細め
『イエス!』
ホントにこの笑顔には敵わない。
『ねぇねぇ 海も入れるんですか?』
決まったとたん行く気満々、瞳をキラキラと輝かせちゃって
『目の前が海でプライベートビーチみたいだって自慢された。』
『ステキ!じゃあ水着買っちゃおうかなぁ。』
『ダメ…タケシたちも来るからおまえは長袖に長ズボンな。』
『なにそれ!』
まだ梅雨も始まっていないのにもう気分は夏休み。
『夏を満喫しようぜ。』