続・あなたの色に染められて
第14章 言葉 ~番外編~
『ふぁ~っ…』
キミは小さな口を大きく開けてあくびをする。
『眠れなかった?』
『ゴメンゴメン、ちょっと気を抜きすぎだね。』
頬をパチンと両手で叩いて気合いを入れ直すキミはきっと昨晩ヤキモチ妬きのダンナさんから相当絞られたんだろう。
『寝れなかった?…って言うか寝かせてもらえなかった?』
何となくだけどそう思ったボクはコーヒーをカップに注ぎキミに差し出した。
『ありがと…』
いつもらならあーだこーだとヤキモチ妬きのダンナさんの武勇伝を披露してくれるのに キミはフーフーとコーヒーを冷ましながら
『怒ってるんだと思う。でも…叱ってはくれなかった。』
寂しそうに笑った。
…叱ってはくれない
『え…怒られなかったの?』
そんなこと今まであったっけ?
いつだって「璃子は俺のモノだ!」って振る舞いをしていたくせに
『怒られてるうちが花なんだよ。』
そか…この二人の間では叱って貰えるのが愛情表現だったりするんだ。
『ほら、京介さんも疲れてたんじゃない?出張って気も張るし…』
ボクがどんなにフォローしたって
『…ありがとう。』
キミの心を癒すことはできない。
窓の向こうのブドウ畑で姉貴の子供たちと一緒に笑顔で走り回る可愛い子供たちを眺めるキミの横に立ち
『何か…あった?』
根源はボクだけど多分その寂しそうな笑顔の原因はそれだけじゃない気がして
『…。』
『愚痴なら聞くよ?』
小さな頭にポンと手を乗せた。
*
風間くんはいつもズルいなって思う。
『何かさ…夫婦ってこんなもんなのかなぁって。』
だって彼は私の心を意図も簡単に開けてしまう。
『倦怠期?』
『倦怠期か…そうなのかな。』
私は風間くんに胸の内を話始める。
『京介さん…浮気してんのかも。』
『プッ…あり得ないでしょ。』
『あ、笑った!ヒドイ、人が真剣に悩んでるのに!』
具体的に何かを話したことはないけれど
『わかんないよ?若くてピチピチした子と今一緒にいるかもしれないじゃん。』
風間くんは窓に背を向け凭れていつものようにケラケラと笑いながら
『イヤイヤ、京介さんに限ってあり得ないって。』
口を尖らせる私の不安を拭いさろうとしてくれる。
『璃子ちゃん、最近二人でデートした?』
何か答えを見つけてくれたのか風間くんは私の瞳を覗きながら質問した。