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続・あなたの色に染められて

第14章 言葉 ~番外編~


『マジか…』

こんなにも自分の不甲斐なさを感じながら目を覚ましたのは初めてかもしれない。

カーテンの隙間からの日差しがやけに眩しくて 目を覚ましたのは少し前

璃子の香りに包まれてると思いきや

『オレは何をやってるんだ。』

その香りの源は璃子の枕で腹の上には

『どこに乗っけてんだよ。』

陽菜の足…

昨晩、コイツらを寝室まで運んでからシャワーを浴びるつもりが

『口開いてるし。』

寝顔があまりに可愛くて添い寝してしまったのが敗因。

久しぶりに璃子との時間を楽しみに階段を上って来たはずなのに

…はぁ

この有り様だよ。

諦めの悪い俺はこっそりとベッドを抜け出し

『起きてくんなよ…』

ゆっくりと扉を閉めて璃子が寝てるであろう俺の寝室へと足を向ける。

…カチャ

『…ったく。』

俺の枕を抱いて口をほんの少し開けて静かに寝息をたてる可愛い嫁さんに自然と頬が緩むのが自分でもわかった。

シワくちゃになってしまったスラックスを脱ぎ

『…ん…?』

『選手交替。』

枕を奪い取り甘い香りの主の隣へと身を沈めると

『…京介さ…?』

まだ夢と現実の間にいる璃子は目を閉じたままニコリと微笑み

『…京介さんだ。』

俺の胸に頬を埋めた。

俺1人でも狭いと感じることがあるこのベッド

『昨日は悪かったな。』

でも、璃子のぬくもりを感じるには最高の狭さ

『…ううん。』

まだ目を開けようとしない璃子の頬に手を添えて俺の方を向かせると少しだけ唇を尖らせ

…チュッ

ご希望通り甘いキスをプレゼントする。

『風邪はもう治ったのか?』

『おかげさまで…んぅ…』

出張に行く前から咳をしていたコイツの柔らかな唇を堪能するのも久しぶり

『口開けろ。』

『待って…子供たちが…』

相変わらず遠慮がちに覗かせる舌に理性が利かなくなる。

『大丈夫、ぐっすり寝てたから。』

璃子を組敷きパジャマの中に指を忍ばせたんだけど…

『ママー!』

『パパー!』

『…マジかよ。』

俺が部屋出るとき口開けて寝てたよな

璃子はさっきまで潤んでいた瞳を柔らかく細めて

『ゆっくり寝ててください。』

俺の頬にキスを落とすと布団から抜け出した。

…チッ、どうしてくれんだよ

その気になってしっかり熱を蓄えたオレの中心

アイツら今晩は20時には絶対に寝かせてやる。

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