続・あなたの色に染められて
第14章 言葉 ~番外編~
『ハァ…ハァ…』
息の整わない私に背を向け素早くスエットを身に纏った京介さんは
『俺が見てくるよ。』
私の代わりに泣いている陽菜の元へと向かってくれた。
…やれやれ
久しぶりに京介さんのベッドで身を預けた夜
まだ彼の鼓動を感じながら余韻に浸りたかったのに
…しょうがないよね
いつもはいい子で寝てくれるのにこういうときに限って夜泣き。
『…はぁ。』
気だるい体を起こしてパジャマを身に纏い
二人で寝るには小さすぎるベッドだけど、愛してもらうにはちょうどいいサイズの彼のベッドから立ち上がる。
『よし、ママに戻るか。』
乱れた布団を直し、彼の枕を一度ギュッと抱きしめて自分の寝室へと戻った。
『…ママ。』
部屋に入ると涙をいっぱい浮かべて私に向かって両手を広げて
『どうしたの?』
まだ冷めない体で京介さんの腕から陽菜を預かる。
きっと怖い夢でも見たのかな。
京介さんの隣に座って陽菜の背をトントンと優しく撫でると私の背もトントンと彼は撫でてくれた。
*
『天使だよな。』
璃子の胸に抱かれると陽菜はすぐに瞼を閉じた。
陽菜をゆっくりとベッドに寝かせると
『そうですね…』
璃子は俺の胸に体を預け
『でも今日は悪魔ですけどね。』
俺らの至福の時間を奪ったとでも言うように唇を尖らせた。
『何だよ。珍しいじゃん。』
今日の璃子はやたらに俺にくっついてくる。
『たまにはその…』
それは抱いてるときもそうだった。
いつもは唇を噛んでまで声を圧し殺すのに 今日は俺の上で高い声で鳴いて自ら腰を振って
『愛したいときもあるんだよな。』
『バカ…言わなくていいです。』
でもこれって 恥ずかしがり屋の璃子の心がパンクしそうなときの合図でもあって
『愛してるよ。』
『…私も…です。』
薄暗い部屋でもおまえの頬が赤く染まってるいるがわかる。
さっき充分に重ねた唇をもう一度堪能しながら体の線を撫でると
『…お父さん…』
…ヤバッ
今度は恵介が俺らの邪魔をする。
『…寝言かよ。』
璃子だけじゃなかった。
『もう寝ましょうか。』
俺だっておまえを思う存分感じたい。
『…だな。』
一日でいい。
『おやすみ。』
璃子を独占したい。
『おやすみなさい。』
オレはまだまだガキなんだな。