続・あなたの色に染められて
第14章 言葉 ~番外編~
『大丈夫だよ。オレに任せて!』
子供たちをお義母さんたちに預けた早朝。
『本当に?陽菜もお兄ちゃんの言うこと…』
『ちゃんと聞けましゅ!』
『ったく、今生の別れじゃねぇんだから。』
心配性の京介さんまで呆れるほど 心配で堪らない私は何度も子供たちを抱きしめた。
『じゃあね…』
『バイバーイ!!』
駅まで送ってくれると言う竜介さんの車に乗り込むと 子供たちは私の心配をよそにニコニコ手を振っちゃって
『大丈夫かなぁ。』
京介さんはそんな私の手を握りしめ
『大丈夫。』
優しく微笑んでくれた。
*
新幹線の車内
『…はぁ。』
璃子は構内で買ったコーヒーにも手を出さずスマホを眺め溜め息ばかり吐いていた。
『大丈夫だから。』
そりゃ 子供たちの事が心配なのはわかる。
けれども
『あ…』
『今回はお袋と香織さんに任せようぜ。』
俺の手でスマホに蓋をするように覆いその手をギュッと握りしめた。
『それに…俺は結構楽しみにしてたんだぜ。』
『え…』
だってさ
『おまえと二人なんて恵介産まれてから一度もねぇだろ?だからこの二日間は久しぶりに二人でさ…』
少しだけ表情が緩くなった璃子は繋いでいる俺の手を握り返すと
『いいのかな…』
『いいんだよ。蔵と家族のために頑張ってくれたご褒美だって親父とお袋も言ってたし。』
本当にそう、コイツはこうでもしなきゃ休みをとらねぇんだから。
*
『オーソドックスに兼六園でも行ってみる?』
『そんな時間あるんですか?』
『少しはあんだろ。』
持ってきたガイドブックを眺めながら終点の金沢を目指すと
…ブーブー
京介さんのスマホが振動する。
『吉野さんから?』
『あぁ、泊まる旅館をここに変更しといたからって。』
本当に吉野さんと京介さんは仲がいい。
『アイツ…』
『なぁに?』
京介さんが微笑む視線の先
「車内で奥さんとイチャイチャすんなよ~」
だなんて、私まで頬を染めてしまうようなメッセージ。
『おっ、アイツいい旅館チョイスするねぇ。』
京介さんは早速ガイドブックの中からその旅館を探しだす。
『わぁ!』
そこは全室離れで露天風呂付きなんていう老舗の高級旅館
『アイツもたまにはいい仕事するな。』
久しぶりに素敵な時間を過ごせそうな予感に私は心を踊らせた。