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続・あなたの色に染められて

第14章 言葉 ~番外編~


『お待たせしました!』

吉野さんにお願いして予約してもらった式場近くの美容室でお義母さんから借りた訪問着を着付けてもらった。

『いいじゃん。』

淡いピンクの小花が散りばめられた着物に鮮やかなシルバーな帯

『あ…ありがとうございます。』

お世辞とわかっていながらも誉めてもらえると嬉しいもので

『どうした?』

『いや、いつもみたいに意地悪言われると思ってたんで…』

『孫にも衣装って?』

『まぁ、そんなところです。』

二人だけのこの二日間

『京介さんも格好いいですよ。』

『俺はいつもと変わらねぇだろ。』

『いいえ、いつもよりシャンとして見えます。』

彼の顔を見るのも照れてしまうほど私の胸はドキドキとしていた。

自然と差し出された彼の大きな手を握って半歩後ろを歩いていく。

久しぶりに後ろから眺める彼の背中は大きくて逞しかった。

『京介さん、さっき美容室の人と何喋ってたんですか?』

『ん?別に。』

知らないと思ってるんだ。

『連絡先聞かれてませんでした?』

『…。』

傍に居すぎて忘れてしまっていたのかもしれない。

『奥さんが着替えてる間にナンパされないで下さい。』

彼はモテるんだってこと。

『しょうがねぇだろ。俺から誘ってる訳じゃねぇし。』

結婚してからもきっと日常茶飯事的にこんなことがあるんだろう。

だって 浮かれるわけでもないし困ってるわけでもなさそうだった。

『なんだよ、その膨れっ面。』

『別に膨れてません。』

*

明らかに膨れてた。

頬をプーッと膨らませて唇を尖らせて

『なに?妬いたの?』

『や…妬いてなんかいないです!』

…図星かよ

『おまえ可愛いな。』

『だから!妬いてなんかいませんて!』

そんなにムキにならなくたっていいのに。

っていうか、蔵がらみの列席者が多いとはいえその着物姿はズルいっていうか反則っていうか…

『荷物置いてくるよ。』

式場のクラークにコートと荷物を預け振り返ると

『アイツ…何やってんだよ。』

ほらな、見ず知らずの若い男たちに早速声を掛けられてやがる。

『あ、京介さん!こちら新潟の越後酒造さん…』

…油断も隙もあったもんじゃねぇ

『…おまえなぁ。』

『はぃ?』

『いや、何でもない。』

頬を膨らませて唇を尖らせたいのは俺だって気付いてくれよ。

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