続・あなたの色に染められて
第14章 言葉 ~番外編~
久しぶりに思う存分愛せる夜だから
『…うっ…』
おまえの誘いに乗ったよ。
湯船に腰掛けさせられた俺は中心で頭を上下させる璃子を見下ろす。
相変わらず下手くそだ。
深く突っ込むなって言っても突っ込むし、舌使いだって全然ダメ。
でも、正解を探すように俺の顔色をうかがいながら試行錯誤を繰り返してくれる。
『もういいから。』
言ったって離すことはないとわかってるけど 咥えながら首を横に振る仕草が見たいから声を掛ける。
丸みを帯びた腰つきを璃子は気にしてるみたいだけど 湯を通して映し出される腰のラインは綺麗だった。
一番始めに抱いたときから考えれば そうだな…年は重ねてきたんだな。
そういえば胸ももう少し高い位置にあったかな。
『…くっ…そこはヤバイって。』
本日の研究の成果が出始めると 俄然やる気を出すおまえ
『マジで…離せって。』
肩を押しても
…本当に可愛いよな
任務を遂行しようと手を抜くことなく俺のために…なんてな。
『…うっ…飲むなよ。』
何年前の話だろう。何を思ったのか飲んだコイツの不味そうな顔が忘れられない。
『絶対に出せよ…ウックッ…』
…ゴクン
『バカ!』
『ううっ…』
あのときと同じ、口を一文字に結び眉間にシワを寄せ
『何で飲むんだよ~』
『だってぇ…』
本当におまえには勝てないよ。
*
『あの…』
普通さ
『着た意味なくないですか?』
これからそういうことをするというのに浴衣を着ろだなんて
『雰囲気ってもんがあんだろ?』
早速、布団の上で私の襟元に手を掛ける彼の髪を撫でた。
『おまえ、ずいぶん余裕じゃん。』
『そんなことないですよ。』
確かに 余裕というか穏やかな気持ちで彼との夜を迎えていた。
『ヘラヘラしやがって。』
『してません。』
こうやって子供のように拗ねたり、浴衣を着ろとねだったりするあなたが可愛くて仕方がないだけよ。
『よーしわかった。』
…いけない!これは調子に乗りすぎたかも
『おまえはバカだな。』
『はぃ?』
『風呂で一発抜いてくれたよな?フフっ…笑っていられるのも今のうちだからな。』
『はぃ~!?』
彼の瞳が射抜くような瞳へと一瞬で切り替わる。
『待って…』
『うるせぇ。待てるか!』
その瞳は私をたくさん愛してくれたときの瞳の色だった。