続・あなたの色に染められて
第14章 言葉 ~番外編~
『クククッ…大丈夫か?』
『大丈夫じゃ…ハァハァ…ないですよ…』
体をビクつかせ、いまだに俺を締め付け離さない璃子の体の上に凭れるように覆い被さっていた。
『おまえが「もっと…」なんて煽ったからだろ?』
『京介さん!』
顔を真っ赤にしながら俺の肩をバシバシと叩く璃子
『止めろ、痛えって!』
新婚時代を思い出すようなやり取りに頬を緩ませ
『ウフッ…くすぐったいですよ。』
余韻の残るその頬に額に首筋にと音を立ててキスを落とした。
そしてやっと体の震えが治まったコイツのナカからズルリとモノを抜き去ると
『…あっんっ…』
璃子はもう一度体を跳ねさせながら愛らしい声で鳴いてくれた。
その一瞬の仕草が好きな俺は可愛い唇に長く触れるだけのキスを落とす。
そう これが俺たちのセックスの儀式みたいなものだった。
“キスは会話をしてるみたい”
まだ不馴れだった頃の璃子が紡いでくれたコイツらしい台詞
終わりの合図じゃないけど俺はこのキスにいつもなかなか言葉に出来ない感謝の気持ちを込めていた。
それが伝わっているのかはわからないけど 璃子はこのオーソドックスなキスのあと穏やかに微笑んでくれるんだけど
『京介さん…』
今日の璃子はそこに
『…愛してます。』
大切な言葉を足してくれた。
恋だの愛だのを越えた感じっていうのかな。
同士というか運命共同体というか…すべての情が混ざった俺たちの今の状況を表してくれたような言葉に
『ありがとう。』
俺もまた大切な言葉を紡ぎ璃子を抱きしめた。
柔らかくてあたたかくて 俺が抱きしめてるのに抱きしめられてるようなそんな感覚に目頭がじんわりと熱くなる。
『恵介がいて陽菜がいて…可愛い嫁さんがここにいて…』
いつも言葉足らずで不安にさせてしまう俺が伝えなきゃいけない言葉
『本当にありがとうな…おまえと結婚して、毎日幸せで堪らないよ。』
『…京介さん。』
“幸せ”なんて台詞を俺が言うなんてな。
おまえに出会う前の俺が聞いたら指差して笑うかな。
震える華奢な肩を強く抱きしめて
『…璃子』
ここは離れの部屋で誰にも聞かれることはないけれど、おまえだけにこの想いを伝えたくて
『愛してるよ。』
これからも変わることのない気持ちをそっと耳元で囁いた。