続・あなたの色に染められて
第1章 Sweet life
『ねぇ…いつまでまーくんだっこしてんだよ。』
祝勝会のいつもの居酒屋でいつまでたっても自分の順番が回ってこないケンタがしびれを切らしたように璃子に問い詰めた。
『あれ?ケンタくんも抱っこしてほしいの?』
相変わらず璃子のことが大好きなケンタだったけど 新鋭の直也の息子 まーくんは璃子の胸に頬を埋めて
『イヤイヤ!』
『ほら ケンタ。まーくん嫌だって。』
何故だか どいつもこいつも俺の嫁さんを独占したがる。
『ケンタはもうお兄ちゃんでしょ?』
『まーくんのにいちゃんじゃねぇし。』
幸乃さんにトドメの一発を喰らわされ ほっぺをプーッと膨らまして唇を尖らせて まだ赤ちゃんのまーくんを睨む諦めの悪いヤツ。
『ケンタ 男同士こっちで呑もうぜ。』
同じオンナに惚れたもん同士ここは慰めあうしかねぇかって まだ口を尖らせてるケンタを俺の膝の間に座らせて
『きょうすけどうにかしろよ。おくさんだろ?』
なんて 一丁前に俺にアタるなんて本当に可愛いヤツだった。
***
『璃子は赤ちゃんのどうするの?』
久しぶりに顔を会わしたお姉さまたちがそんな状況を見て私に何気なく問いただす。
『もちろん欲しです!』
『京介もああ見えて子供好きだもんね。』
そう 京介さんは子供が大好き
『仕込んではいるの?』
『…まぁ。』
こういう話は女の人の方が遠慮がないもので
『でもまだ半年たってないんでしょ?もう少し二人の時間楽しんでもいいんじゃない?』
『そうですよ。萌なんか授かり婚だから二人の時間なんて全然ないんですから。』
先月男の子を産んだ佑樹さんの奥さんの萌ちゃんも 今日は実家に預けて久しぶりに参加していた。
『でも 京介さんのああいう姿見ると早く授かりたいなって。』
膝に座らせた最近野球を始めたケンタくんとボール片手に話しているところを見ると やっぱり早く授かりたいなって
『じゃあ 毎日頑張らないとね。』
『…毎日なんて。』
『なに言ってんのよ?こんなに愛されてんだから夜なんか寝かせてくれないんじゃない?』
結局 こういう大人の話になってしまうもの
『まぁすぐに出来るんじゃない?愛妻家の京介のことだから。』
まぁ 赤ちゃんを授かるってことはそういうことだけど…
頬を赤く染めてまーくんを抱きしめる私はちゃんとママになれるんだろうか。