続・あなたの色に染められて
第4章 夏祭り
『はい 出来たわよ。』
『ありがとうございます。』
一週間前に出来上がった浴衣を京介さんのお母さんに着せていただいた。
『璃子ちゃんらしい 素敵な柄ね。』
京介さんとお揃いの浴衣に金色のステッチが施された黒い帯
『私も着たかったなぁ。』
お腹の大きな香織さんは涼しくなる夜までしーちゃんとお留守番。
『璃子ちゃーん!そろそろ行くよー。』
リビングから竜介さんの声が届くと 私たちは急いで部屋を出た。
『じゃあ よろしくね。』
『はい、いってきます。』
竜介さんの後を追うように玄関から出ると 中庭には酒蔵の名前の入った揃いの浴衣を羽織るみんながもう集まっていた。
『遅いよ 璃子ちゃん。』
スッと近づいてきたのは少し浴衣を着崩した風間くん。
『馬子にも衣装だな。』
『なにそれ。』
腕を組んでニカッと笑う彼は浴衣がよく似合っていた。
うんと…京介さんは…
…いた。
私とお揃いの浴衣を羽織って社長であるお父さんの脇に立って
『それでは 2日間、地域の皆さんに恩返しをするつもりでお祭りを盛り上げていきましょう!』
集まった皆さんに大きな声で挨拶をしていた。
『じゃあ 璃子ちゃん。俺はこっちの見学会が終わったらヘルプに行くから。』
『そうだ。ゴメンね。色々とよろしくお願いします。』
私の肩をポンと叩いて お決まりのケラケラ声を出して笑って
『任せとけって。』
親指をグッと立てた。
***
会場までさほど遠くはないのでみんなで歩いて向かう。
『じゃあ 璃子ちゃん本部の皆さんによろしくね!』
『皆さんも頑張ってください!』
私は一人 本部の設置されてる駅前までバスで向かおうとバス停で手を振ると
『…へ?』
後ろから肩をポンと叩かれた。
『京介さん?』
『何 目 丸くしてんだよ。』
さっきまで先頭を歩いていたと思っていたのに
『どうしたの?…ちょっ!』
肩に手を回されグッと引き寄せられ
『まずは本部に挨拶だろ?俺の嫁さんをよろしくって。』
ニカッと微笑むその顔はクリーム色の浴衣のせいかな…とても柔らかくて
『見とれてんじゃねぇよ。』
『あっ…いえ…そのぉ。』
いつも見てるはずなのにね…視線を合わせてはいられないほど眩しくて
『バス来たぞ。』
さりげなく手を繋がれると私の心はまた大きく跳ねた。