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続・あなたの色に染められて

第4章 夏祭り


『似合ってんじゃん。』

バスに乗り込むと空いていたので二人で並んで座った。

『髪もいいじゃん。』

『香織さん器用ですよね。』

繋がれた手を引き寄せられると耳元で

『そのうなじ すげぇそそられる。』

『…うっ。』

そっとうなじに唇を落とし

『もう…ダメですよ!こんな場所で…。』

小声で叱っても 彼はニカッと笑って

『すげぇ脱がせたい。』

『…もう…エッチ。』

京介さんもまた私の耳元で囁いた。

私とお揃いのクリーム色の浴衣は彼の肌の色を際立たせ 着崩すことなくきちんと羽織るそのさまは反って大人の色香を漂わせていた。

『京介さんも格好いいですね。』

『だろ?うちの奥さんのお見立てがいいですから。』

たった10分ほどのバスデート

同じ会場にいながら別の場所にいるという私たちらしいいつものスタイル

『変な男に絡まれるなよ。助けに行けないんだからな。』

『京介さんこそ…。』

たくさんのお客さんを相手にする今日。私の方こそ心配で堪らないのに

『祭りが終わる前に迎えに行くから。』

『…え?』

『祭りが終わる前に解放されるんだろ?そしたら挨拶もかねて二人で会場回ろうよ。』

『はいっ!』

繋いだままの手をギュッと握りあって視線を合わせれば彼の優しい笑顔

私たちより後ろの席には誰も座っていないこの状況…

どちらからともなく重なる唇

『やだ…口紅…。』

ハンカチを探すふりして 頬が染まっているのを隠したりなんかして

でも 彼はそんなことわかってるんだ。だから私の肩をグッと抱き寄せ耳元で

『…すげぇ やりてぇ。』

浴衣の合わせにスッと手を差し込んで

『…ちょっと!』

クスクスと笑う彼に真っ赤な顔で叱り

もう一度手を繋ぎなおした。

***

『家内をよろしくお願いします。』

本部にうちの日本酒を寄贈して 私のために頭を下げてくれるだんなさま

『いや~そっちも忙しいのにお嫁さん借りちゃって悪いわね。』

『いえ可愛がってやってください。』

その横で私も半歩下がって一緒に頭を下げて

『じゃあ しっかりな。』

『はい。』

彼の後ろ姿を見送る私

振り向けば目を細める本部の人たち

…あっ…。

『新婚さんはいいねぇ。』

『…すいません。』

さて お昼から始まるこのお祭り。彼の地元のためにしっかりと働きますか!

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