続・あなたの色に染められて
第4章 夏祭り
『Go down this way and take the fourth left onto main Street.』
この街には米軍基地があり そこで働く軍人さんたちの案内役が本部での私の役目
『ありがとうね、本当に璃子ちゃんたちがいてくれて助かったよ。』
『こんなにペラペラなら去年も手伝ってもらえばよかったわね。』
去年は始まったばかりの酒蔵見学に奔走して夏祭りどころじゃなかった私
道案内をしたりイベントの案内をしたりと大したことはしていなかったけど随分と喜んでもらえた。
『あとは俺が引き継ぐから京介さんと回っておいでよ。』
途中からヘルプに来てくれた風間くんは笑顔で外人さんに手を振って
『いいから いいから。』
少し前に迎えに来てくれた京介さんは本部の奥で実行委員長と明日の樽酒の搬入の打ち合わせ中
『じゃあ お言葉に甘えちゃおうかな。』
次の人の案内を始めた風間くんの背中に感謝して 私は京介さんと本部のテントを出た。
***
メイン通りにはところ狭しと露天が並び 天を見上げれば各お店で趣向を凝らした煌びやかな飾りが夏の夜空を彩っていた。
『京介さん あのお店のたこ焼き美味しそう!』
久しぶりに日本のお祭りに参加するって言ってた璃子
『食うの?』
『一緒に食べません?あっ でもあのチョコバナナもいいなぁ。』
俺の手を引いて瞳をキラキラさせて悩むコイツはまるで子供のよう
『じゃあ 両方買うか?』
『いいんですか?』
こんなにはしゃぐ璃子を見たのはいつ振りだろう。
結婚前からデートらしいこともろくにしなかった俺たち
『熱っふ~い!』
俺にチョコバナナを持たせて大きなたこ焼きを頬張る璃子は小さな口をハフハフさせながら顔を上げ 足をバタバタと踏み熱さと戦って
『ハハッ、冷ましてから食えよ。』
『らって~。』
無邪気に振る舞うコイツは本当に見ていて飽きない。
『うわっ マジで熱っち~!』
『だから 熱いって言ったでしょ?』
揃いの浴衣を着て 満面の笑みの璃子と手を繋いで
『明日は花火があがるんだぜ。』
『ホント?』
目を輝かせて見上げるおまえは
『明日も迎えに行くから一緒に見ような。』
『はい!』
“俺のカミさんです!”って生まれ育ったこの街のみんなに教えたくって堪らないよ。