続・あなたの色に染められて
第4章 夏祭り
本部の片付けを終えた璃子たちが酒蔵に戻ってきたのは テントやらテーブルを蔵にしまい終えたときだった。
…なんで 風間と仲良く帰って来てんだよ
独占欲の強いオレ、同じ場所から帰ってくるんだから当然なのに
…いちいちムカつくんだよ
理解してるフリして本当はすげぇヤキモチ妬いちゃってる。
『お疲れさまでした!』
璃子はそんな俺の胸の内を知ってか知らずか各部署に頭を下げ 労いの言葉をかけて
俺のところにたどり着いたのは最後も最後だった。
『京介さん お疲れさまでした。』
…遅ぇよ
これが俺の本心だけど
丸2日コイツだって朝から晩まで馴れない場所で気使って立ちっぱなしで大変だったはず
『本部も大変だったろ?』
疲れを微塵も見せないほど明るく振る舞うおまえこそ疲れてるはずなのに
『大変でしたけど 最後に一緒に花火を見れたから疲れなんか吹っ飛んじゃいました。』
よく見れば団子を結んだ後れ毛が花火で会ったときよりも乱れていた。
たぶん頑張りやさんのコイツのことだ 片付けも率先してやってきたんだろうな。
『ありがとな。お疲れ。』
肩をポンと叩いて背中に手を添えれば ほんのり浴衣が湿っていた。
***
『暑っ~い!』
玄関の扉を開けると丸1日閉めきりにしていたこの部屋は蒸し風呂状態だった。
『今クーラー入れますからね。』
下駄をさっと脱ぐとリビングに駆け込み
ピッ
ボタンを押して満足気に微笑んだ。
それから 璃子は俺の前を通ってキッチンに向かうと 食べっぱなしだった俺の皿をそそくさと洗い始める。
『お腹減りません?お素麺でも茹でましょうか?』
『いいね。小腹も減ったし。』
自分だって疲れてるのにまだ俺のために何かしようと気を使う。
『じゃあ その間にお風呂…キャッ!』
乱れた後ろ髪に惹かれたのか はたまた腰のラインに魅了されたのか
俺はいつの間にか 璃子を抱きしめていた。
『ちょっと…待っ…。』
うなじに唇を這わせ 浴衣の上から体のラインをなぞる。
『離して下さい!私 汚いから…。』
身を捩りいつもより力を込めて俺の胸を突き放そうとする。
『動くな。』
『……んっハァ…。』
耳元で囁いてから耳の奥に舌を忍ばせれば璃子は崩れるように膝を曲げた。
『お願い。』
潤んだ瞳を覗けば 縋るように見つめられた。