続・あなたの色に染められて
第5章 サマーバカンス
『生き返るぅ。』
『気持ちいいですねぇ。』
『ホント…極楽極楽。』
酔い潰れて眠ってしまった沙希さんと授乳中の萌ちゃんを残して 幸乃さんと璃子と3人でお風呂に浸かった。
足を伸ばしてもまだ余るほどの 檜の香りが心地よい浴槽に身を沈め日頃の育児疲れを癒すと
『璃子ちゃんは相変わらずお肌が綺麗ね。』
幸乃さんは自分の体と交互に眺めながら溜め息をこぼした。
まぁ人間 歳を重ねれば自然と衰えていくものだけど 出産の経験した私たちと比べるとその違いは一目瞭然
『悔しいけどオッパイだって上向いてるしお尻だってプリンとしちゃって。同じ年なのにズルくない?』
『ズルいって何よ。』
頬を膨らます璃子は女のアタシから見たって触れたくなるぐらい 真っ白で柔らかな肌
おまけに料理上手で守ってあげたくなるようなその笑顔
これじゃ 京介さんも可愛くてしかたがないだろうな…。
そういえばお風呂が男女別の話も最後まで首を縦には振らなかったいたもんね。
『それにしても さっきの京介くんにはビックリしたわね。』
幸乃さんは頬を染めながら さっきの一悶着に触れた。
『沙希さん完全に璃子にケンカ売ってましたもんね。あれじゃ京介さんも黙っちゃいないですよ。』
あれから沙希さんはテーブルにうつ伏せたかと思ったら あっという間に夢の世界
あの調子じゃ 明日覚えているかも定かではないほど酔っていた。
『璃子ちゃん惚れ直したでしょ?』
幸乃さんはクスクスと笑いながら耳まで紅くした璃子に詰め寄って
『まぁ。』
『なによ まぁ…って。ハッキリ言いなさいよ。』
私まで璃子に意地悪く詰め寄ると
『はい…惚れ直しました。』
肩をすぼめてそれはそれは幸せそうに微笑んだ。
『でもさ 沙希さんはわかるのよ。きっと昔から京介さんに恋心を抱いてたんだろうなって。』
『和希くんでしょ?「離婚すればいい」なんて口にしたってパパから聞いたよ?』
璃子はすぐにまた目を伏せて小さな溜め息を漏らすと
『私が邪魔みたいで…。』
苦笑いをしながら浴槽の縁に腰かけた。
『ことあるごとに 私と京介さんを引き離そうとするんですよ。』
『ことあるごとって…。いつもこんななの?』
璃子は頷くと 心にしまっていたモヤモヤをゆっくりと吐き出し始めた。