続・あなたの色に染められて
第5章 サマーバカンス
『バカ!何すんだよ!』
『キャハハ!』
『やめろって!』
勢い余ってダイブしてしまった俺たちはそのまま浅瀬に座り込んだ。
『あ~もうっ!水かけんな!』
ケラケラと高い声を響かせて璃子はバシャバシャと俺に水をかけてくる。
っていうか おかしくねぇか?
公衆の面前で下着姿でウロウロすると捕まるのになんで水着はOKなわけ?
『痛ってぇ!目に入っただろ!』
っていうか いつもならちょっと下着姿を見られるだけで恥ずかしがるのに自分から水着姿を披露するなんておかしいだろ
『えーぃ!』
ヤツ等に堂々と披露するその眩しすぎる水着姿に俺こそ胸が高鳴るのに
『キャッ!それ反則です!』
痛い目を微かに開けながら璃子を抱き上げると
『俺に反抗するなんて100年早ぇんだよ!』
『うわっ!ヤだ!降ろして~!』
力ずくで暴れるおまえを抱き上げて沖に向かって歩き出した。
璃子の足はバタバタと抵抗するけど 一歩進むごとにじわりじわりと深くなっていき
『ヤダヤダ!降ろしてください!』
『うるせぇ!俺に歯向かったバツだ。』
体が徐々に水に浸かり出すとさっきまでのあの威勢のよさは何処へやら
首に巻き付く華奢な腕に力がこもる。
『…ヤっ。怖い…。』
お姫様だっこをしていた腕を引き抜くと 璃子の体は一瞬海へと引きずり込まれる。
『離さないで!』
首に回した腕の力ひとつで自分の体を支えると 璃子は泣きそうな顔して水のなかで足をバタつかせる。
『溺れたくなかったらしがみつかねぇと。』
璃子は観念したように俺の腰に脚を巻き付けると 俺の首に頬を埋めた。
『意地悪。』
『俺の言うこと聞かないおまえが悪い。』
浜辺に背を向けて水面に沈む俺たちにヤツ等は冷やかしの言葉を浴びせるけど そんなの知ったこっちゃねぇ。
『ねぇ 落ちちゃうよ。』
手を離せば璃子の背じゃ脚は届かない。
『じゃあ 上になんか羽織るか?』
『せっかく海に来たのに?』
『二人きりなら大歓迎だけどヤツ等に見せるのは絶対に無理。』
『京介さんのために着たのに?』
本当におまえは俺を煽る天才だ
『じゃあ…。』
今にも落ちそうな腰に腕を回して抱き上げて璃子の顔を真っ正面にとらえると
『キス。』
『…んぅっ。』
後ろ姿だけどわかるだろ。
アイツ等に璃子は俺のモンだと見せつけた。