続・あなたの色に染められて
第5章 サマーバカンス
沖でイチャついていた新婚さんが浜辺へ戻ると ヤキモチ妬きのダンナさまは愛する奥さまに直ぐさまTシャツを着せた。
『え〜Tシャツ着ちゃったの〜?』
『うるせぇボケ!』
タケシは涙目でガックリと肩を落として
『すごい可愛かったのに〜。京介さん!Tシャツ着せるなんて卑怯ですよ!』
コイツは本当にバカだ。
いくら璃子ちゃんに一目惚れしたからって相手は百戦錬磨の京介さんのお嫁さん
『おまえみたいなのがいるから着せたんだよ!』
調子に乗ればすぐさま制裁を浴び
『イタッ痛いっす!』
耳を引っ張られテントの外へはじき出される。
少し可哀想な気もするけど まぁ 今までの流れだとこれが妥当ったら妥当。
『男物のTシャツをあんな風ににガバッと着られるとアレもアレで結構そそるよな。』
『俺も〜ああいうのすげぇ好き。』
俺の横で早速ビールを飲んでる長谷川さんと佑樹さんがヒソヒソと話し出すと
『長谷川さん!佑樹さん!しーっ!』
俺はまた新たな火種を処理しなければならない。
まぁ でも確かに二人の言うとおりだけどな…
男のロマンというか何というか…
彼氏のTシャツをワンピースのように着て 裾から華奢な白い脚が覗けば そりゃ男なら誰しもが頬を緩ませる。
…最近 美紀もああいう格好してくれねぇからなぁ
子供ができると俺なんか二の次だし…
京介さんの隣でニコニコしている璃子ちゃんを見ながら溜息をこぼすと
『さっきからどこ見てんのよ!』
『痛ぇっ!』
俺の可愛い嫁さんがお怒りモード全開でバシッと一発腕を叩いてきた。
…俺もまだまだヤキモチ妬いてもらえるんだ。
なんて少し嬉しくなっちゃったりもして
唇を少し尖らせた髪をかきあげるコイツも俺にとったら世界一のオンナ。
『…痛い!ちょっと!』
腕を引き寄せ俺の膝の上に座らせてギュッと後ろから抱きしめる。
…雅也預けて別荘戻る?
耳元でそっと囁やけば頬を真っ赤に染めてジロリと睨みつけるけど
…いいから行こ?
強引に立ち上がらせて賑やかなテントから二人で抜け出す。
『直也…。』
部屋に入ると自然に重なる唇。
今朝まで3人で川の字になって眠った布団の上に男と女となって肌を重ねる。
俺たちだってたまにはいいよな?
隣の部屋で萌ちゃんが授乳をしていたのを知ったのは昼飯を食ってるときだった。