続・あなたの色に染められて
第1章 Sweet life
『…はぁ…。』
『…悪ぃそこに居んの知らなくて。』
顔の前で手を合わせる彼を溜め息混じりにジロリと睨んで
『お昼休み終わったらまた打合せしましょ。』
苦笑いをする風間くんを横目に机の上をダッシュで整理して
『お先にお昼いただきまーす。』
事務所のみんなに毎度のことだとクスクスと笑われながら
『…もうやんなっちやう。』
二人分のお弁当を抱え 今さっき出ていった京介さんの後を追った。
『待って!』
毎回 中庭辺りで捕まえて
『なんだよ。』
冷たい視線で見下され
『アイツとランチじゃなかったっけ?』
やっと捕まえた私の小さな手に視線を移し 無言で“離せ”と圧力をかけてくる。
『…もう そんなこと言わないで下さいよぉ。』
結婚したってこのヤキモチ妬きは終息するどころかどんどん悪化していた。
***
『だいたいおまえは隙が有りすぎんだよ。』
『そんなことな…。』
『あるんだよ!ありすぎなんだよ!』
やっと広げられたお弁当をつつきながら はじまるのはいつものお説教。
『いいんだぜ?別に俺は…。机並べて仲良くお喋りしてりゃいいじゃん。』
今日はせっかく京介さんの大好きな唐揚げをおかずに用意したのに
『どうせ俺はアイツみたいに愛想もないですし、お喋りも上手じゃありませんから。』
『そんなこと言ってないじゃないですか…。』
こうなってしまうと話は長い。
『あっ おまえ今面倒くせぇって思っただろ?』
『思ってません!』
だってもう何回目?
仕事をする上でお話ししてるだけなのに…っていうか 京介さんが海外担当から外れちゃうからこういうことになったのに。
『せっかく朝から頑張って唐揚げ揚げたのにな…。』
風間くんのことなんて仕事の仲間としか思ってないのに
『京介さんのために揚げたのにな…。』
私の大好きな人は大きな口を開けて残さずお弁当を食べてくれるこの人だけなのに
『ごちそうさま。』
やっとお腹が満たされると私の頭の上にお弁当箱を乗っけて
『美味かったよ ありがとな。』
私の顔を覗き込んで優しく微笑むからつられて頬を緩めてしまう。
でもね このヤキモチ妬きさんのご機嫌はそんな簡単には治らない。
『次アイツにその笑顔見せたらまた説教だから。』
『…アハ…アハハ。』
ね?私のダンナさまは大変なのです。