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続・あなたの色に染められて

第5章 サマーバカンス


『怒らないで聞いてくれる?』

京介さんは私の髪を優しく撫でながら私の知らなかった想いを紡ぎはじめた。

『こんなに悩んでいてくれた璃子には悪いけど…赤ちゃんはもう少しあとでもいいかなって思ってた。』

…え。

それは私と正反対の想いだった。

重なった瞳は優しさに溢れて吸い込まれそうな焦げ茶色

『そりゃ授かったらすげぇ嬉しいけど…最低でも1年ぐらいはおまえを独り占めしたいなって思ってた。』

その正反対な言葉は不安を煽るものではなく私の心をあたたかく包み込んでまた瞳を潤ませる。

『子供が産まれると俺なんか二の次だろ?そんなの耐えられねぇもん。』

京介さんは口を尖らせながら頬を赤く染めて少し恥ずかしそうに心の声を言葉にのせてくれる。

『そんなことないですよ。』

すごく大人なくせにすごく子供…。

だからかな…そんな愛らしい彼の子供を早く授かりたいって一人で暴走してしまったのは

『だから 俺たちのペースで赤ちゃんを待とうよ。』

彼の言葉と声が私の苦しかった心に心にぬくもりという光を与えてくれる

『久しぶりにはしゃぐ璃子を見てたら 最近働かせてばっかりだなって反省した。』

『そんな…』

『そんなことあんの。』

抱き寄せられた彼のたくましい胸に頬を寄せて幸せを噛み締める

『いつか 赤ちゃんが俺たちを選んでくれるその日までたくさん二人の想い出作ろうぜ。』

『…はい…でも。』

ちゃんと私から伝えなきゃいけないこともある。

『私…少し授かりにくいかもです。』

京介さんは私のお腹にそっと擦ると優しく微笑んで

『キッチンのカレンダーに変な羅列の数字は関係ある?』

『はい…。』

キッチンに貼ってある私専用のカレンダーに毎日基礎体温を記入していたこと 気づいててくれたんだ。

『あれは赤ちゃんのためだったんだな。』

頭にポンと手を乗せられると

『どんなことでも受け入れるし おまえのためなら何でもするから。』

『でも…。』

『でもじゃないだろ?ダンナさんの言うことはちゃんと聞きなさい。』

『痛い!』

悪戯に笑って瞳を覗き込まれたら不意に低い鼻を摘ままれた。

『みんな心配してるから 俺たちは大丈夫だって笑顔で戻ろうぜ。』

不安でいっぱいだった私の心に満開の花を咲かせてくれたのはやっぱり愛しい愛しいダンナさまでした。

『はい!』

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