続・あなたの色に染められて
第6章 すれ違い
『痛てぇ!何すんだよ!』
『いいから顔貸せ。』
週末 久しぶりに璃子と球場に足を運んで体を動かしてると悪い噂を耳にした。
その噂を確かめるべくベンチで後輩とくっちゃべってる佑樹の腕を掴み強引に駐車場に連れ出した。
『なんだよ痛ぇなぁ。』
口を尖らせながら睨み付け大袈裟に痛がる佑樹に
『良からぬ噂を耳にしたんだけど。』
話が話だけに早く真相を知りたい俺は 痛がる佑樹を無視して
『和希が俺の子だって噂 誰から聞いた?』
さっき耳にした噂を佑樹にダイレクトに聞いてみた。
佑樹はフッと笑うとまだ痛がる腕を擦りながら
『先週のミーティングで魔女たちから聞いた。でも酒の肴的な話だぜ?』
『何で頼んでもいねぇのに酒の肴が勝手にテーブルに並んだんだよ。』
『沙希さん 昼間和希くん連れて来てたんだ。そこで魔女たちに意味深発言したらしいんだよ。』
最近は俺抜きでも顔を出してるとは聞いていた。
『なんだよ意味深発言って。』
睨み付ける俺にニヤリと笑う佑樹
『和希の父親の話。』
アイツ…その話は墓場まで持ってくって言ってたのに
『沙希は…なんて?』
恐る恐る佑樹に尋ねてみると
『3年前に亡くなったのは本当の父親じゃないみたいな?』
マジか…言葉を失うオレに佑樹はその憶測とやらを饒舌に語り始める。
『若かりし頃の京介を知る魔女たちだぜ?今現在のおまえら二人の距離感と 10年前、遥香と付き合いながらそれなりに女遊びしてたことを知る魔女からしたら酒の席だぜ?答えは自ずとそうなるだろ?』
こういうときの女って変な威力を発するもんなんだな。
『っていうかさ 和希おまえに似てんだよ。冷めた目とかその薄い唇とか。 』
言わせておけばペラペラと
『わかった 勝手にしろ。ただ オレは和希の親父じゃねぇ。沙希とヤったこともねぇから。』
俺は踵を翻してグラウンドに戻る。
…あのバカ!何で軽々しく和希の父親のことを口にするんだよ!
おまえに和希と話をさせてくれと頼んだあの日 涙を流しながら俺に話してくれた真実
その話は俺たちだけの胸に留めておこうと…墓場まで持っていこうとそう決めたよな?
…っていうか 璃子の耳に入ったらどうすんだよ。
こんな状況になってまで沙希をかばわなきゃなんねぇなんて
『ったく!』
俺はすぐに璃子のもとへと向かった。