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黒子総受け短編集【黒子のバスケ】

第2章 壊れた少年を救う光は

もうどれだけ走ったか分からない。
既に黄瀬の脚は限界を訴えており、痙攣が止まらない。
彼は、学校から遠く40分もかかる黒子の家までの道のりを、全力疾走し、たった15分で駆け抜けた。
そうまでして、伝えたかった。

「…………はっ、はあっ……」

肩で息をし、煩い鼓動を押さえつける。
両親とも他界し一人暮らし黒子。
それを考え、また胸が痛む。
震える手で、黒子宅のインターホンを押した______

と、中からバタン!ドスン!と何かものの落ちるような音がした。

「う、うわ………」

一体中で何が行われてるんだ、と黄瀬は不安になった。

………もしかしたら、自分が来たことを知って、慌てて逃げようとしているのかもしれない。

………逃げる? どうやって?

黒子宅は高級マンションで、12階だ。
マンションなのだから、玄関はここ一つのはず。
ならば、どうやって____?

「……………まさか」

最悪の状況が黄瀬の脳裏を掠めた。

嫌だ、そんな、嘘、嫌、嫌だ…

ようやく分かったのに。
ようやく……ようやく、君に謝れるっていうのに…!

「そんなっ……黒子っち! 黒子っち!」

ドンドン!
黄瀬は玄関を握り拳で何度も叩いた。

「いるなら返事してくださいっス!!
 黒子っち…黒子っちてばっ…!!
 ……嫌だっ…嫌だよぉっ…!!」

悲痛な叫びが空しく響く。
すると_____目の前の扉が、開いた。

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