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修練の鏡と精霊の大地

第4章 穴

「球也ぁーっ!! 逃げろっ!!」とコウヤが叫んだ。


「えっ!?」


 球也は周りを見渡した。


 だが、気が付けば、地面から突き出た沢山の腕に囲まれていた。


「うわぁぁ!! うわぁぁ!! うわぁぁ!!」


 あわてて立ち上がろうとする。だが、地面から出た2本の腕がしっかりと球也の足を掴んでいた。



『ゴゴゴゴゴ……』



 激しい地鳴りとともに、世界が揺れ動く。


『ドンッ!! ドンッ!! ドンッ!!』


 音と共に地が盛り上がる。


 細かくひび割れていく地面が宙に舞い、球也の体が天高く昇る。


『ドドドドドドォォォーー!!』



 そいつは姿を現した。


 三階建ての家屋ほどの高さで、幅も10メートルはあるだろうか?


 それは、超巨大な人の顔をしており、土煙を撒きながら、地中から出没した。


「マジかよ……」コウヤの顔が蒼白になる。


 頭には髪の毛の代わりに何千本もの腕が伸びていた。それは髪の毛と言うより、髪の手だった。


 鬼の様な形相でこちらを睨み、頭だけのそれが、もぞもぞと動きながら近付いてくる。


「き……きたぞ」


 コウヤは斧を手に後退りする。



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