テキストサイズ

修練の鏡と精霊の大地

第4章 穴

「これをあいつの口に入れてやる!」と意気盛んに、岩顔相手に向かっていく。


「ちょっと待った!」


 莉子が止めた。


「なにもやってないのは私。その役目、譲って」と手を出した。


「えっ!? でも……」


「危険なのはみんな一緒よ。任せて、私は負けないから」


 莉子の表情は自信に溢れている。


 純化は少し考えると、「じゃ、お願いします」と石を莉子の手に渡した。


<じゃ、うちも連れてって>とソーヤも一緒に莉子の手に乗った。


「じゃ、行くよ!!」


 莉子は右手にナイフを持って腰を低くして走り出した。



 コウヤはツルを掴んだまま、振り落とされそうになっていた。


「うわっ!! くそっ、動くんじゃねぇよ!!」


 球也はてっぺんで悶えていた。


「あ……あかんて、そんな所優しく触られたら……アハハハ」


 なかなかのテクニシャンらしい。


 莉子は岩顔の正面に回った。


 莉子の姿を見つけた岩顔は、噛み付かんばかりに大きく口を開けた。


「グアーッ」


「バカじゃないの! 凄いチャンスじゃん」



ストーリーメニュー

TOPTOPへ