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修練の鏡と精霊の大地

第4章 穴

 岩顔はピクリとも動かず、岩の中に沈んだ。


 コウヤは親指を突き立て「グーッ」と示した。


 三人はコウヤに駆け寄った。


「凄いっすよコウヤさん!!」球也が讃える。


 ゼェゼェと息を切らして中腰になるコウヤ。


 どんな大きな相手にも、臆することなく立ち向かうその姿は、まさしくプロレスラーだった。


「精霊の力が無かったら……間違いなく俺が土になってた……やっぱ……たよりになるよな……この仲間は!!」


 コウヤはそう言うと、大きく手を広げて三人の肩を抱き寄せた。


「そうだよ、私達、最強の仲間だよね!!」


 莉子は敵を倒せた喜びで、思わず涙を流す。


「まだまだ、この先があるからみんな気を張っていこう。キュウもなるべく単独行動は避けろよ!! 勇者なんだからよ!!」


「ごめんなさい……」


 コウヤに叱咤され、球也は頭を俯かせる。


「じゃ、村に行く?」と純化が村の入り口を指差す。


 コウヤは目を閉じて、首を横に振った。


「いや、ひとつ気になるのが出てきた」そう言って、あるところを指差した。


 それには球也も気がついていたようだ。



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