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修練の鏡と精霊の大地

第4章 穴

「あのでっかい穴、けっこう深いよね」


 二人が気が付いたのは、岩顔が出てきた時に、出来た穴だ。


 かなり奥行きがある。


「あいつが出てきた穴、あれ、ずっと埋まってたわけじゃないだろ」


 コウヤが疑問をぶつける。


「どっかから潜って出てきた? とでも言うの?」


 莉子が、あくまでの推測を述べる。


 ふと、コウヤが球也の体を見る。


「おい、キュウ。お前、所々に土がついてるぞ」


 コウヤに指摘され、球也は自分の体の周りを調べてみる。


 よく見ると、あちこちに土や砂で汚れた跡がある。


「うわっ!! なんだこれ」


「おそらく、あいつが頭にある腕を使って掘ってきたんじゃないかと。その手で球也を掴んだから汚れたんだな」


 コウヤが言うと、純化がその穴を覗きに行く。


「うわっ!! むっちゃ凄いわ!!」と思わず声を上げる。


 球也も中を覗き見る。


「うわっ!! 洞窟やんこれ!!」


 コウヤと莉子も穴のそばにくる。



「わっ!! これ凄いわね。何処かに通じてるのかしら?」


「行くか?」


「……」


 無言になった。



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