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修練の鏡と精霊の大地

第1章 黄昏時に出会して……

 球也は一冊のノートを出し、1ページ分を切り離すと、胸ポケットにあったボールペンと一緒に渡した。


「ほら、これに書いたらいいよ」


「フェアリー王国、長老、タクノアン」


「……書けってことやね」


 カバンを台にして、代筆のお手製名刺を仕上げる。


「すまんの、この国の文字はわかりにくくて……」


「いいっすよ、てか、日本人じゃねえの?」


 タクノアンは大きく咳払いをした。


「そもそも、わしは人間ではない」


 球也はいらん者に捕まったと、言わんばかりの表情を全面に出した。


「人間じゃなかったら……なんなの?」


「わしはここで言う妖精って者かな」


 球也の表情が徐々にしゃくれてきた。


『……早く帰ろう』


 心の中で何度もそう思った。


「お前さん、わしを信じとらんだろ!!」


 誰が信じるか!! と思っただけで、口には出せなかった。


 訳のわからない手品を見せつけ、自分を妖精だと名乗るたくあんの何を信じろと言うのだ!?


「わしはたくあんじゃない!! タクノアンだ!!」


「!!」


 心の中を読まれた。



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