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修練の鏡と精霊の大地

第1章 黄昏時に出会して……

「な……なんでわかったん?」


 球也の声が裏返る。


 タクノアンはニヤリと笑った。


「わしは人間の心が読めるんじゃよ。また、その地にあわせた、あらゆる国の言葉を話せる」


「すげぇ〜」


「ただし、通訳は出来ない。その地に合わせるだけなんでな」


「都合のいい能力、持ってるんですね」


 球也は目を丸くした。


 タクノアンは真っ白な髭を、右手でさする。


「ところで……なんか、悩み事があるようじゃな」


「!!」


 球也は息を飲んだ。そこまでわかるのか?


 タクノアンは球也の様子を見て、ニヤッと笑う。


「どうやら、おおよその内容は野球の試合でエラーを出したのが原因で、周りの厳しい目を気にしすぎて今までの調子が出ずに、高校生最後の大会でレギュラーとして残るかどうかが心配なんじゃな」


「それ、おおよそと言うか完璧全部じゃないっすか!?」


 全てを見抜かれた球也は、俯いて大きなため息をついた。


「でも、俺の気持ちは、じいさんにはわかんねえって……」


「家族にいろいろ言われるのが苦痛なんじゃろ」



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