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修練の鏡と精霊の大地

第4章 穴

<あいつは心臓も目もあらへん、だから粉々にして分散させたのちに焼かなあかんねん>


「つまり、塊のまま焼くなってか……とんだ脂身野郎だな」


 コウヤはそう言うと、背中から斧を取り出した。


「ちょっと……コウヤ、なにする気?」


 莉子は直感で何かに気が付いた。


「あのまま、やつを破壊してやる。俺はレスラーだ。どんな格闘技でも一番だってことを見せてやる」


「でも、それは相手が人間だからでしょ! あんなの炎をまとった相手に、どうすんの!?」


 莉子の問い掛けに、コウヤは汗を滲ませて言った。


「やってやるよ。俺のファイヤーデスマッチを」


 そう言うと、斧を振りかざし、ゼラチナスオイルキューブに向かって行った。


「俺には、負けって答えはないんだよ!!」


「コウヤ! やめて!!」と莉子が止めるが、コウヤは無鉄砲にも炎の中に突っ込んで行った。


「コ、コウヤさん!! 戻ってくださいよ!!」と球也も呼び掛けたが、コウヤの姿はあっという間に炎に包まれていった。


「早よ助けな!! なんとかならんの!?」純化は精霊の石を集めたが、役にたちそうなものは見たあらない。


<うちはすぐ焼けてまうから、なんもでけへんよ〜>


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