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修練の鏡と精霊の大地

第5章 他にも、まだいたかっ!?

「僕、おぶっていけるほど力ないっすよぉ〜」


「なに言ってんの!! 男の子でしょ!! 高校球児でしょ!!」


「こんな土壇場にそんなトレーニング出来ませんよ〜」


 球也はそう言って、莉子の手を引っ張って立たせようとする。


「だめぇ、無理無理無理、足が震えて……」


「でも、逃げないと……早く」


 球也は必死に莉子を立たせようとする。


 莉子も気は急いでいるのだが、体が言うことをきかなかった。


「キュウーーッ!! 早く、なにしてんだよ!!」


 コウヤが振り向いて呼び掛ける。


 純化はコウヤの背中から降りて、後ろを向いた。


 へたりこんだ莉子の手を、大根を抜くように引っ張る球也の姿を見た。


「コウヤさん、ヤバイよ助けにいかなアカンて……」


「なにしてんだよ桃尻娘のやろう、普段は強気でケンケンしてるくせにだらしねぇ」


 コウヤは斧を手に取った。だが、急成長を続けるその怪物を前に、なかなか足が進まない。


「あいつ、あの岩顔とか言うやつよりもデカイじゃねぇか!! 向かっていっても人間が素手でビルを壊しに行くようなもんだ」



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