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修練の鏡と精霊の大地

第5章 他にも、まだいたかっ!?

 どこからか声がした。


「どこだ?」と、球也は辺りを見渡す。


「こっちだよ。こっち」


 声は上から聞こえてくる。


 球也は顔を上げた。


 すると、3メートルほどの木の上に男性がいた。


「あっ!!」と球也は思わず声を出す。


「えっ!? 誰? 猿?」


「人間だよ! こんな、スマートに話す猿がおるか!! いや、そうじゃなくて、木の上にいれば大丈夫だよ」


 頭に赤いバンダナを巻いた、筋肉質の男性だ。


「木の上って、どういうこと?」球也が尋ねる。


「いいから、あんたたちも登ってくればいいの」と今度はハスキーな女性の声が聞こえた。


 球也が辺りの木を探して見ると、バンダナの男以外にも人が登っているのが見えた。


「えっ!? なんで!! みんな、猿?」球也は驚いた。


「おーい、きみ! ツッコミと理由は後だ。早く上がって来ないと、そいつが食ってる物がなくなったら、きみが餌になっちゃうぜ!!」


 バンダナ男はそう言って、手招きをする。


 そうは言われてもすぐに行動は起こせない。


 桃尻娘の莉子が腰を抜かしているのだ。


「莉子さん、早く!!」


 球也が必死に立ち上がらせようとする。



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