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修練の鏡と精霊の大地

第5章 他にも、まだいたかっ!?

「キュウ……あんただけでも逃げて……私、もうダメ」


「なに言ってんすか!! 生きてこの世界から出ましょうよ」


「だってぇ〜、怖くて足が動かないんだもん」


 莉子は涙で頬を濡らしていた。


 今まではコウヤの無鉄砲な頑張りが、なんとかなるという可能性を産み出していたが、今回はそんなわけにはいかない。


 相手は怪獣なのだ。奇跡の展開が起きて、ウルト○マンかゴ○ラでも来ないと、自分たちだけではどうしようもない。


 絶望……この言葉だけが莉子の胸にのしかかっていた。


『ゴゴゴゴゴ……』



 激しい地鳴りが耳をつく。


 どうやら怪獣が、虫の大群を食いつくしたようだ。


 次の獲物を探そうと触手のようなものを伸ばし、ズリズリと動き出してきた。


「おーい!! とにかく、そのおばさんをなんとか遠くに離してやってくれぇーっ!!」と上からバンダナの男が、球也に指示を出す。


「おばさん!?」


 球也ではなく、莉子が反応した。


「おいっ!! そこの猿兄ちゃん!! 誰がおばさんだよ!!」


 莉子は立ち上がった。



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