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修練の鏡と精霊の大地

第5章 他にも、まだいたかっ!?

「あんたにおばさんなんて言われる筋合いなんてないんだよ!! どの口が言ったんだよ!! さっさと下りてこい!!」


 莉子にとって、おばさん扱いされたことが癪(しゃく)に障ったようだ。


「ちょっと……莉子さんっ!! そんなこと言ってる場合とちゃうって!! 早よう離れなっ!」


 球也が慌てて莉子の腕を引っ張る。


 木の上ではバンダナの男が、呆れた表情で頭をポリポリとかいていた。


「やれやれ……ま、今がチャンスかな」


 そう言うと、バンダナの男は腰に引っ掛けてあった二本の刀を引き抜いた。


 そして、バランスを取りながら木の上で立ち上がった。


 安定しない太い木の枝に足をかけ、両手に一本ずつ刀を持った。


「言うとおりに下りてきてやるよ!!」と言って、バンダナの男は木から飛び下りた。


「でえやぁーーっ!!」


 その二本の刀の先は、怪物の触手に向けられていた。


 落ちていく勢いで刀を一気に振り下ろし、怪物の触手をまるで大根を切るかのように、スパっと断ち切った。


 切れた触手は球也と莉子の目の前に落ち、跳ねた魚のようにピチピチと動いていた。


「うわわわわ!!」


 突然の展開に、今度は球也の腰が抜けた。



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