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修練の鏡と精霊の大地

第5章 他にも、まだいたかっ!?

「んっ!?」コウヤが顔をしかめた。


 莉子が示したその男に、見覚えがあったのだ。


 コウヤはそのバンダナの男に近付いて、こう尋ねた。


「あんた……ひょっとして、リアルバトルU3の佐田勇樹(さだゆうき)じゃねえか?」


 コウヤにそう聞かれると、バンダナの男はパッと目を見開いた。


「あぁ、そうだけど……俺を知ってるのか?」


 バンダナの男は総合格闘技団体リアルバトルU3の所属選手、佐田勇樹だ。プロレスラーのコウヤが知らないはずがない。


「あぁ……総合格闘技の勇樹って、俺達の間でも有名だからな」


「そうか……あんたは?」


「おれはオリオンプロレスの、矢崎コウヤだ」


「プロレス!? レスラーか?」


 勇樹の声が裏返った。


 それに、やや半笑いだった。


 コウヤはわかっていた。格闘家ではなく、自分が、素人に近い三流プロレス団体の数増やしレスラーと言う風に、見られていると……。


 そう、ずばりナメられている。


「そうか、プロレスラーさんか。もうデビューはされてるの?」


 勇樹の言葉で、コウヤは目を細めた。



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