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修練の鏡と精霊の大地

第1章 黄昏時に出会して……

<ちょっと……うちを勝手に呼び出して、なんの用なん?>


 草木の精霊が喋った。


「うわっ!! かわいい」


 球也は顔を近付ける。


「いや、この男がわしを信用しとらんかったからのぅ、だからお前さんを呼び出して証明をしたまでなんじゃ」とタクノアンは、言った。


<バカにしてる。人間ってそうやねん。神や仏に対してはジャリ銭放り投げて、なんやかんや身勝手な願望ばかり願いおって、うちらの存在なんざまったくおらんもんの話になっとる>


 精霊は膨れっ面で、タクノアンの手の上であぐらをかいた。


「いや、僕は信じるよ……今までは僕達には見えない世界だったから半信半疑だったけど……」


<そこやねん!!>


「はっ?」


<あんたらは、信用出来る人間が言うたことは、みな信用するやろ? 本心は見えへんのにや>


「そりゃまあ……」


<いま、あんたは信用したから、うちが見えるんや。信用してなかったら、いつまでたっても見えるかいな!>


 球也は人型が形成されたその瞬間に、半信半疑から全信無疑になった。



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