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修練の鏡と精霊の大地

第6章 新メンバー

「ねぇ、奈美ちゃん。あなた、どうしてこの世界に来たの? なんか、へんな老人に会った?」


 莉子が奈美に話しかけた。


 すると、コウヤが席を立った。


「待て、この子は筆談だろ。あれを借りよう」


 そう言って、店の壁にかけてある、B4用紙ほどの大きさのホワイトボードを勝手に拝借した。


「ねぇ、コウヤ、それ使っていいの?」


 莉子が気まずそうに言った。


 コウヤはボードに書かれている文字を、隣のテーブルにあった布巾で拭い消した。


「こんなの、また書けるだろ。いま、客いないし大丈夫」


 コウヤはホワイトボードと、それにかけてあったペンを奈美に渡した。


「メモ帳は使ってたらすぐ無くなるだろ。これを使ったらいいよ」


 奈美は笑顔でそれを受け取ると、さっそくペンを走らせた。


[私、おばあさんに不思議なカガミをかりた。しゃべれるようになりたいと願いをしていのったら、この世界にきた]


「奈美ちゃんはお婆さんから借りたの!? それは私達とは違う点だよね」と莉子が言うと、コウヤがそれに続けて「たぶん、あの佐田勇樹の連中はそうじゃないかな? 進む目的は暗黒の釈迦とか言ってたし」と言った。



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