テキストサイズ

修練の鏡と精霊の大地

第7章 小さな戦士の村

 その瞬間……



 リング上で横たわっていたのはコウヤだった。


「ええええぇぇーーっっ!!」


 莉子と球也の驚きの声 が、村中に響く。


 コウヤはリング上で、大の字になっている。


 莉子がリングに近寄った。


「この、ボケレスラー!! 調子いいこと言って、瞬時に一撃で撃沈かぁっ!!」


 莉子がリングサイドで、マットをバンバンと叩きながら言った。


 ワードフがコウヤに近付いた。


「押さえ込むか倒れるかすれば勝ちだって言ってたな……じゃ、こちらの勝ちかな」


 相手のユングは腕組みをしながら横になったコウヤを見下ろした。


「やっぱり、上から人を見るのは気分がいい。でかいし、威勢もよかったから期待したんだが……とんだ茶番野郎だったな」


 人間のプロレスラーなんて、まるで相手にならない。そう言いたげにリングを下りようとした。



 その時……



『ガシッ!』


 コウヤが体をおこし、後ろからユングの体を抱きかかえた。


「おら、まだ逃げるんじゃねぇ」


「な……なにぃっ!?」


 ユングは慌てふためく。


「確かに俺の負け。だが、こんなリングの上で闘わせるんだから、それなりの覚悟はしてたんだろうな」



ストーリーメニュー

TOPTOPへ