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修練の鏡と精霊の大地

第7章 小さな戦士の村

 ワードフはたじろいだ。


 リング上のサイは、コウヤの迫力に負け、ペタリと座り込んでしまった。


「いいか、こんなくだらねぇ仕掛けを用意しなくても、お前達は強いんだろ!! なら、体の大きさ関係なく己の力と技だけでこいよ!! 自分の強さにプライドがあるなら……こんなもんに頼るな! お前達も、俺達が本気でかかってきた方が遠慮なくぶつかってこれるだろ」


 コウヤは思いの丈を吐き出した。


 それは体の小さいことをコンプレックスにとらえず、力を信じて正々堂々と闘うことが、大事だということ。体の線が細くどれだけ鍛えても、なかなか筋肉がつかない体質が悩みのコウヤだからこそ言える心からの主張だった。


 ユングの最初の一撃で彼ら小人の戦士の力を悟った。だから言えた。


 彼らは本当に強いと。


 それと同時に、相手を小人だと思って、甘く見くびっていたことについての自分の過ち。コウヤが自分からトゲと爆破種に突っ込んだもうひとつの理由が謝罪の表しだった。


 ワードフはリングに上がった。


 そして、倒れたユングに手を添えると、中腰になって項垂れた。


「ユング……すまない。これは俺の責任だ……」



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