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修練の鏡と精霊の大地

第7章 小さな戦士の村

 ワードフはコウヤを見上げ、手を差し伸ばした。


「巨人の戦士よ。完敗だ。こんな仕掛けを組んで有利に闘おうなんて浅はかでした。あなたは我々の力を受け止めて信じてくれた。腕を交えるなんてとんでもない。その気持ちに負けました」


 ワードフは深々と頭を下げた。


 コウヤはニッコリと微笑んだ。


「俺は体は細いが、人間の世界であの本と同じ、プロレスラーをやってるんだ。だから、闘う者の気持ちがわかる。どうだろう? お互いファイターとして、もうひとつの理解しあえる方法をとらないか?」


 コウヤは腰を落として右手を差し伸べた。


 ワードフも理解したようだ。その手をしっかりと握り返した。


 そして、リングのロープが張り替えられると、コウヤとワードフがリング上で向かい合った。









 コウヤが負けたとさ。



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