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修練の鏡と精霊の大地

第7章 小さな戦士の村

「なぜ……この世界にいる?」とコウヤは聞いた。


 ユングはうつ向いた。


「俺は本名、藤山輝(ふじやまてる)。小人症という病と共に生まれてきた」


 小人症……低身長をきたす様々な疾患を示す病態のこと。奇形による場合もあり、原因も様々である。小人症の選手が集まるプロレスで、ミゼットプロレスがあります。


「人間の小人症か……でも、すげえ力あるじゃねえか」と実際に闘ったコウヤが、自分の胸のあたりをさすった。


「すまない。あれは、精霊の力を借りて少し力を増やしたんだ。俺がここに来たのは、体が小さいからサーカスでアクロバットをするくらいしか注目されず、やりたいこともやれなかったり、女性ともなかなか付き合えなかったりと、今まで何度も悔しい思いをしたんだ。せめて、強くなりたいと鍛え、他人になめられないように墨を入れ、自分を見た目も体も強くしていた。だが、コンプレックスであるこの体はなんとかしたいと悩んでいたんだ」


「だから、この世界に入った……て、ことか」とコウヤが言う。


「そうだ。だが、精霊の力だけを借りて、この村までやってきた俺は、自分と同じ仲間がいると思って、ここに滞在することに一度は決めたんだ」



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