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修練の鏡と精霊の大地

第8章 カビと巨人

 コウヤは、力一杯に木の真ん中あたりに斧をぶっこんだ。


『ドカッ!!』


 木にはクッキリとした切れ込みが入り、そこからジワジワと水がにじみ出てきた。


「さすがプロレスラー、一発ですな」


 ユングは楽しそうにそう言った。


「水って、こんなもんか?」とコウヤが、切れ込みを見て言った。


「いや、もう少しです。この木は、お井戸の木と言って、水脈の上に根をはってるんです。たえず水を吸い続けてるんで、切れ込みをいれたら、シンガポールのマーライオンみたいに水が出てきます」


 ユングは得意気にそう説明した。


「うわっ、凄い詳しいやんかぁ。精霊のソーヤよりも語りが上手いし、わかりやすいわ」


 純化は尊敬の眼差しを送った。


「でも、これって、このまま飲んでも大丈夫なん?」


「大丈夫です。木の中で水はろ過されます。汚れた水はこの木の栄養分ですんで、キレイな水だけが出てきます」


 球也の質問にもユングは丁寧に答える。


 すると、奈美がメモ帳をユングに見せた。


[もう、のめますか?]


 ユングはそれを見て、木を確かめた。


 切れ込みからジョロジョロと音をたて、水が溢れ出てきた。



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