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修練の鏡と精霊の大地

第8章 カビと巨人

「気を付けて……これは近くにいますよ」とユングは辺りを見回して言った。


「何がいるんだ?」とコウヤが尋ねると、ユングは鼻をヒクヒクとさせながら答えた。


「この死んだ獣臭は、やつの匂いに間違いないです。黴の魔獣ワラワラ」


「カビ!? 魔獣? ワラワラ?」


 コウヤはただ分割して言っただけだ。


「はい、見つけたら捕まらないように逃げないといけません」


 コウヤの言葉遊びをないがしろにし、ユングは周りを警戒しながら先頭に立った。


「そんなの闘って退治すりゃいいじゃん」とコウヤが言う。


「でも、ポックルの村でワラワラに気を付けろって、僕も聞きました。また、大きな相手やったら難儀しますから、なるべくかたまって進んだらいいんじゃないっすか?」


 球也の意見にみんな賛成だった。


<ほんならうちが後ろを見とくさかい、安心しい>


 復活したソーヤが、純化の肩に飛び乗ってそう言った。


「まさか、上から来ないよね?」


 莉子はやたらと上を気にしはじめた。


「いや、昨日の頭でっかちみたいに、地下からドーンと来るかもわからないぜ」


 下を気にするコウヤ。





 前後左右上下に、あるかもしれない危機。すなわち動けなくなった。



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