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修練の鏡と精霊の大地

第8章 カビと巨人

「そうは言っても、ここには水がないやんか」


 純化は指を立てて周りを見るが、池も川もない。


<水の精霊がおるで。ちょっと回復してるし、なんとかなるやろ>


 ソーヤが、水の精霊の石を出してきた。


 だがその時、純化の足下に散らばっていた粉が一気に固まりだした。


「うわぁっ!! 出たぁ!! みんな、みんな、はなれてぇーー!!」


 ユングは指を差して逃げ出した。


 粉は次々に集まりだして固体化してくる。


「おい、マジか!?」


 コウヤも急いでその場から離れた。


 やがて、粉は人型に形成を始めた。


「うわわわわ、これがひょっとして、ワラワラ!?」


 球也も飛び跳ねるように、その場から立ち去った。


「みんな、待って!!」


 純化だ。なぜか、一人だけその場に留まっている。


「純化、早く! なんかわかんないけど、離れろって!!」とコウヤが急き立てる。


「違うねん!! 助けて!! 動かれへん」


 純化の声に莉子がかけよった。


「えっ!? また昨日みたいに動けなくなったん? 早く手を貸して」


 莉子が手をとって、必死に体を動かそうとするが、純化は一歩も動かなかった。


「なに? どうしたの?」


 莉子は頭を捻る。



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