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修練の鏡と精霊の大地

第8章 カビと巨人

「俺達には最強の薬があるだろ!! 俺が元気に戻ったみたいに」


 そう、それはバンタリンから貰った、最強の薬。ちなみに、頭と心臓さえ残って動いてさえすれば腕が切断されても繋げることが出来る。砕いて潰せば塗り薬にもなる。なんしか、どえらい薬である。


「でも、こいつを倒すのに、純化に苦しい思いをさせなきゃならないなんて……」


「やって莉子さん」


「!!」


「こいつを私ごと燃やしてほしい」純化の目は、負けてはいなかった。


 全ては口に出していないが、純化の「やって」には私も闘うの意味も入っていた。


 それに、すでにワラワラのカビは、純化の腰まで包みこんでいた。それしか方法がないのであれば、多少の苦しみは覚悟のうえだ。


「早く!! 莉子さんも離れて! そうでないと、莉子さんまでうちと同じ目に合う」


「純化……」


 莉子はそっと純化の手を離した。




『グルオヮーーー!!』



 ワラワラが雄叫びを上げた。


 ついに野獣化したのだ。


 ワラワラは純化の体を後ろから抱き捕らえた。


「いやぁーーっ!!」


 恐怖のあまり、純化の悲鳴が辺りに響く。


 奈美が弓矢をかまえた。


「よせ!! 射つな!! 微力でも風があるときに刺激を与えれば胞子を飛ばしてくる。そうなったら我々も危険だ」


 ユングは奈美を見上げて言った。



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