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修練の鏡と精霊の大地

第8章 カビと巨人

「ワラワラがどうかしたんですか?」と球也が尋ねた。


「失礼、私はこの先の村で、生命修復師をしております。ペタロと申します」


 ペタロと名乗る男は、深々と頭を下げる。


「生命修復師?」


「まあ……医者みたいなもんですね」


「医者なんや……でも、うちには最強の薬があるからええで」


 球也は薬の袋を示して言った。


 だが、ペタロは目を閉じてから首を横に振る。


「それは、毒や痺れ、ケガには即効効果的ですが、病原菌による病には効き目はございません」


「病原菌による病って誰も……」とコウヤはそう言ってから、純化の方を見た。


 火傷はキレイに消え、傷も見当たらないが、なぜか息苦しそうだ。


「まだ、苦しいんだな。なんせ火だるまになって熱い空気吸ってたから……」


「いえ、それだったらそちらの薬で治ります。これはおそらくワラワラから、直接感染したんでしょう」


 ペタロは純化の顔色を窺いながら、そう判断した。


「えっ!? マジッすか!? じゃあ、純化さん死んじゃうの?」球也は心配そうに純化に近寄った。


「とりあえず、私のいる村が近くにあります。そちらまでむかいましょう。まだ別のワラワラもいるかも知れないので気をつけて」



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