テキストサイズ

修練の鏡と精霊の大地

第8章 カビと巨人

 ペタロの案内により、一同は村に移動した。


 村は広く、やはり出入口には結界のロープが張られていた。


 グッタリとした純化を背負い、コウヤはペタロの診療所に入った。


 石造りの建物の中は木造で、たくさんの壺や瓶が床に並んでいる。


「あ、その方をこちらに寝かせて下さい」


 ペタロがベッドを差し示すと、コウヤはゆっくりと純化をそこに寝かせた。


「実はここ最近、よくワラワラの被害が出てまして……」


「被害?」


「そうです。ワラワラは実は肉食のカビの塊でして、周りに散らばりながら獲物を待つんですよ」


「ひょっとしたら、純化はワラワラの餌になってたかもしれないのか?」


 そう言ってコウヤは恐々とした目で、純化を見た。


「やつらの力は非常に強い。一度捕まれば自力では抜け出せません。しかも捕まれば最初に病原菌を植え込んで、相手を弱らせます」


「その病原菌で、いま純化はやられてるわけか……」


「空気による感染は薄いので問題はないと思うんですが、一応、皆様にはお薬を出しますので後で飲んで下さい。それと、この方の治療ですが、しばらくこちらに置いてあげて下さい」


 そう言うと、ペタロは一人ずつに錠剤を一粒ずつ手渡した。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ