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修練の鏡と精霊の大地

第8章 カビと巨人

 ソーヤを持たせたのも、二人の助けになると想定してのこと。


 男としての勇気と決断力。それはたった三日間で、球也のいい兄貴分となったコウヤが、弟に今一つ足りないと思う指摘点だった。


 高校野球とプロレス。競技は違えど、コウヤはプロのスポーツマン。


 球也を鍛え上げるにはいいチャンスと思った。


 だが、それはあまりにも危険で無謀な試練だ。


 そこでコウヤは考えた。球也の方が移動距離が長い。こっちの仕事を早く終わらせ、後ろから追いかければ遠くからでもサポートできる。


「では、ペタロさん。ワラワラの採取方を教えて下さい」


 コウヤはワラワラに関する、詳しい取り扱い方を尋ねた。


 さすがのユングも採取方法までは知らない。ペタロの説明に耳を傾けた。



「ほんなら、水を汲んできますから待っとって下さいね!!」


 空のひょうたんを腰にぶら下げ、球也は手を振った。


「頼んだぞ!! 怪物には充分に気をつけろよ」


「コウヤさん、任せておいて下さい!!」


 球也はグッと拳を握り示した。


 矢をたくさん補充した奈美が小走りで駆け寄る。そして、コウヤの顔を見ると、球也と同じように拳を握りしめた。



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